2016-06-17

今月の文芸批評。

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-雨山電信「雨山式雌穴マンゲ鏡」エンジェル出版 ISBN:9784873067094
話○ 抜○-△ 消小 総合○

オカルトマニアの幼なじみ双子姉妹と秘教めいた交合の儀式をおごそかに執り行い連作2本+独立短編7本+フルカラーショート1本。絵柄もプレイ内容もとことんコッテリ濃口のめくるめく変態行為絨毯爆撃で読者の勃起中枢を直撃する作者これが記念すべきファーストコミックスだ。なおペンネームはこの綴りで「あめやまでんしん」と読み下せばよろしい模様。
自分の定期購読誌ではない「エンジェル倶楽部」だが、そんな非愛読者から見ると同誌は良くも悪くもワニやコアでは載らないような強烈にエグい漫画があふれかえる人外魔境という趣。なのでそこから輩出される新人たちもひと筋縄ではいかないクセ者ぞろいで、毎月中旬の新刊リリースの際はいつも驚かされっぱなしだ。そして店頭見本をパラパラめくっただけでとりあえず挑戦してみたこの作家の処女作も、帰宅後じっくりご対面したところなかなかにとんでもないシロモノでしたよ。
当版元の刊行物によくある、黒ベースの背景におどろおどろしいフォントが散りばめられたインパクト抜群の装幀がまずは目を惹く。そしてカヴァーを飾るのは顔立ちこそキュートだがドドーンと景気よくお肉が盛られたどっしりボディのおにゃのこ2名。中身のモノクロ原稿ではさらに濃密なタッチとなって、描線も体躯も骨太の格ゲー的テイストにアメコミ風味をわずかに振りかけアングラ臭で包んだクドすぎるまでのヴィジュアルがなんとも強烈である。ちなみに出版社公式の単行本紹介ページでサンプル閲覧が可能なのだけれど、作品全体を読み通したいまとなってはここの画像チョイスがずいぶん遠慮がちに感じるので(わりと無難なページばかり選んだ?)、やはりその全容については実際に単行本本体をあたってもらって大いに衝撃を受けていただきたい。
このバロキッシュな筆致でものされるのは他社の萌えエロ作品などではまず出てこない超個性的なヒロインばかりだ。まず前述の表紙っ娘みたくあどけない系の女の子はむしろ少なめで、中心となるのは心身とも成熟しきったアダルトさん。お歳を問わずみなさん明確にグラマラスと言うかぽっちゃり寄りの肢体描写であり、なかにはプランパーそのもののぶっとい体幹をしておられる人までいてスレンダー大好きっ漢は阿鼻叫喚ですよ。加えて顔立ちも一般的な美人の範疇から外れるお方がチラホラ存在しているので、いろんな意味でマニア向けの物件といえよう。
つむがれる物語の方も作画に負けず劣らず個性豊か。エンクラお得意の官能小説ティックな凌辱調教ネタもむろん用意されているのだが、それにとどまらずお話によってこと細かに趣向を変えさまざまなガジェットを投下するヴァラエティに富んだ作劇は他の同誌執筆陣にあまり見られないもの。行為内容としては明らかにSM緊縛なのにお話のトーンはラヴラヴだったり、あるいはまるでキルタイム作品のようなアンリアル系のネタをぶちこんでみたり、とにかくやることが多彩だ。あと個人的にうれしいのは登場人物のネーミングや物語中の小道具など随所に文藝のかほりがただようことで、こーゆーペダンティックな文学趣味ってエロ漫画ではあんまり見なくて新鮮。
濡れ場をオーソドックスなちんこまんこの合体のみで終わらせることはほとんどなく、ヴァギナ以上にうしろの穴を活用したり妙な性具をぶっこんだり変態行為を織り交ぜたりと物語の展開に応じてさまざまなギミックが持ちこまれる。その他体臭や体毛にまつわるフェティシズムや拘束/ピアッシングなどのビザール系描写、さらに大量の蟲くんウネウネなど奇天烈なシチュまで取りそろえてアブノーマルファック数え役満だ。
艶めくエロボディをみずから白昼のもとさらけ出し牝臭をプンプンただよわせながら女たちはみずから男の股間にしゃぶりつきヴァキュームフェラで精液搾取に熱中する。休憩などなしにすぐさまこんどは下腹部をおっ広げ肉ヒダを見せつけながらレッドスネークカモン。いきなり怒張をねじこまれ激しく内奥を貫かれてたちまち下品なアヘ顔さらし女ども法悦の態だ。前後の穴を肉棒やディルドーでほじくられ全身汗みずくになりながら日本語にならない咆吼を発し昇りつめてゆくヒロインズのド淫乱まんこの最深部にコッテリと粘度の高い白濁液を際限なく注ぎこみフィニッシュ。
作画/作劇とも過剰すぎるほどに多種多様な要素をブチ込み100倍濃縮のどろソースのごとく渾然一体となった変態行為の底なし沼がどこまでも広がるケレン味満点のデビュー作。抜きツールとしてはときに不必要なほど衒学趣味に走るのもこれはこれで得がたい個性だ。男の娘やら豚ちゃんプレイやら自分的にキッツいネタでは若干マイ実用度が低下したものの、最初からブレーキが壊れたみたく好き放題にぶっ飛ばす一方の創作意欲爆裂ぶりには脱帽であり今後とも大いにやらかしていただきたい。どちらかというとこの作家の本線であろう妙齢女性よりは若い娘の方が俺としては受容しやすくて、ゆえにラヴリィ&オカルティックな双子姉妹が幼なじみ兄弟を相手にダブルカップルSMイチャラヴ競演の連作「中二病でも肛門でシたい!」/「中二病でもおそろい処女喪失」がマイフェイヴァリット作品。

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