2016-03-24

今宵のフライング・ダッチマン。

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-ハッチ「ろりティッシュ」ヒット出版社 ISBN:9784894656901
話○ 抜○ 消小 総合○

二段ベッドの上下で眠る兄と妹はふとしたことで肉体関係を持ち覚えたての行為に耽溺前後編+気乗りしない婚約を父に強いられ心痛める兄をなぐさめ事態を改善しようと奮闘する妹はさらなる暗黒を垣間見て……前後編+独立短編4本+巻末ショート漫画。重苦しい情欲の隘路に堕ちてゆき人生の行程を狂わせてゆく男女が必死にあがき続ける光景を冷徹にカメラ・アイでえぐり出してゆく作者最新刊は新作単行本としての通算13冊めにしてトータル14冊めのコミックスだ。なお露骨すぎるタイトルゆえか某密林では本作の存在を抹殺されているので、書籍リンクはまんが王のサイトへ。
前単行本「しょとうぶ」発売からほぼ1年ぶりといつもながらに快調なペースでの新刊リリース。キャリア初期はいくつかの出版社を渡り歩いていたけど「COMIC阿呍」に定着してからはずっとここで執筆しストックがたまったら即単行本化の理想的な循環だ。安定した筆の速さもあるだろうがなんといっても毎回それなりのセールスを確保しているからこそこうして毎年のように新刊を出し続けられるのだろう。
例によって外注塗りのカヴァーイラストと中身のモノクロ原稿ではいくらか印象に差異があるので、購入前に店頭見本を確認するか版元提供の単行本情報ページでのサンプル閲覧をオススメ。少年/青年漫画絵ベースのソリッドな筆致に加えあまり密にトーンを貼りこまないタイプの作画でいくらかパサついた感触ではあるものの、本作からディジタル移行したとのことで若干仕上げが柔和な雰囲気になったような。
コミックス表題が示唆するとおりに登場ヒロインは年端も行かぬ起伏少なめボディのニンフェット中心。その気になればょぅι゙ょからオバサンまでなんでも描ける人なのだが、今回はロウ~ミドルティーンの若干年齢高めロリでまとまっている。いずれも発展途上の平坦なトルソにあるやなしやのささやかな胸の起伏と滑らかなスリットを標準装備し、未成熟な青い果実を美味しくいただきたい諸兄の征服欲を大いにそそってやまない。
そんな彼女らが乗っかるストーリーはハッチ得意の愛憎入り乱れる人間模様精密点描。一時期の鬱炸裂な長編のようにドンヨリした空気はこのところ薄れて比較的ライトなノリの短めの作品が増えてはきたのだけれど、和姦ベースのお話でさえもそこはかとなく重たい設定をはさみこむのはもうこの人の業のようなもの。許されぬ禁忌を犯し強引に関係を持ったり裏で倒錯した行為にいそしんだり倫理の枷をあっさり外したり、およそノーマルな恋愛とは言いがたいそれは甘やかな萌えエロなどとは対極の、おそらくコンビニ誌では絶対に展開されないタイプのそれ。
濡れ場もまたそうしたアトモスフィアを引きずったウェッティな雰囲気がただよう。多くのお話で男子サイドが無理やり女の子を組み伏せレイプまがいの行為でスタートすることもあり、最終的にはすっかり快楽のとりことなるにしても支配と服従のゆがんだ関係性が最後までつきまとう感じ。幼い肢体をいっちょまえのオンナの体躯へと変貌させられ激しい愛撫と容赦ない往復運動に辛抱たまらず嬌声を発する彼女らは、しかしながらどこか完全には屈服しない意志の光をその瞳にたたえつつ小さな子宮へザーメンの奔流を叩きつけられるのだ。
いまだ育ちきらない10代入りたての華奢なボディをいつのまにか白日の下にさらけ出され、前人未踏の秘密の花園へ屹立した怒張を無理やりねじこまれて彼女は歯を食いしばり破瓜の傷みを堪え忍ぶ。指や舌先で体躯をまさぐられながら柔肉をハードに貫かれるうちいつしか未曾有の衝撃が全身を突き抜け、やがて苦痛の呻きは甘やかな吐息へと変化。うっすら汗をにじませアンアン声を発しながらファーストアクメを迎えんとする少女の胎内深く白濁を注ぎこみ女体征服ミッション完了。
くり広げられる情交のみならず彼ら彼女らの心の煩悶までも余すところなく実況中継するハッチ独特の重たく暑苦しい濡れ場をたっぷりページを費やして浮き彫りにするさまはコンビニエントなイチャラヴに慣れた読者の頭にガツンと一撃を食らわせる強烈な読書体験。人間存在の闇の部分までもすくい取る身もフタもない作劇はときとして直視しがたくもあるけれど、この居心地の悪い感触までも含めてこの作家の個性でありそれゆえにいちどハマるとクセになるのだ。あえてすべてを説明しきらずブツッと余韻を断ち切る結末といい、ふつうのエロ漫画には飽き飽きした貴方はぜひ一読を。今回収録の物件中では、兄に犯され幾度となく身体を重ねるうち心ならずも快感に身もだえするようになってしまうヒロインの複雑な心境をつづる「二人部屋じゃなくなる日」前後編が抜き的に、自分自身をひな形にして異性体を作り出し彼女を性欲処理の玩具にする主人公とその因果を子孫が反復してゆくさまを見つめつつ生涯を閉じる彼の姿をシニカルに描写の「CLONE」がお話的に、それぞれグッと来たです。

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