2013-10-11

今晩のミキモト真珠島。

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-しのぎ鋭介「少女のいろは」ティーアイネット ISBN:9784887744936
話○ 抜○ 消中 総合○

大雪のなかたどり着いたボロ宿で一夜の逢瀬を過ごした少女(じつは幽霊)に取り憑かれた主人公の生活は一変して……連作シリーズ4本+独立短編3本(うち当社前単行本収録作続編1本)。たおやかな黒髪美人がはしたなく乱れよがり狂う光景が眼福すぎてたまらんですたいな作者通算4冊めにしてMujinレーベルでの第3弾コミックスだ。
この人は今春にワニマガジン社から前単行本「揺れる濡れる」が発売されたばかり。TI物件としての前作にあたる2009年7月刊の通算2冊め「委員長の恋人」から3冊めの前作までは4年も待たされたのに、今回は極端に刊行のインターヴァルが短くてうれしいんだかありがたみ薄いんだか。いずれにしても実力のある漫画家の新作がさほど間を置かずに続けて読めるのはよいこと。
いわゆる初出一覧のたぐいがまったくないので収録作品の執筆時期は明確にはわからないのだけれど、端整で落ちついたアニメ系の絵柄はキャリアの比較的早い時期に完成していて絵柄のバラつきはさほど感じられない。これ見よがしな派手さはないものの実直で暖かみのある描線が心に深くしみ入る。
ティーンも大人女性も両方イケる作家だが今回登場するのは一部人外さんを除けばハイティーン相当の食べごろ世代中心。まあ長生きこいてる数名もルックスはたいそうあどけないので、全体的には俺のような10代女子スキー御用達な雰囲気。みなさんツヤツヤの長い黒髪とあまり大きすぎないおっぱいを標準装備のいかにもつつましやかな大和撫子ばかりであり、黒髪ロング大好きっ漢にはまさにエルドラド。
こうしたヒロインズの和風ティックな装いがストーリーの方にもそこはかとなく反映されていて、冒頭からの伝奇もの風連作「幽玄~」シリーズや、横溝正史的なドメスティックダーク系巻末短編「闇月の女神」など、伝統的な日本のアトモスフィアただようお話がズラリと並ぶ。このような作品をおおう空気といったものは既刊収録のものでもそこはかとなく感じられたのだけど、今回は以前のオーソドックスなラヴコメに比べもっと積極的に和のテイストを押し出すようになった感じ。
既刊に比べより変化があったのが濡れ場パートで、最初期の作品を除きMujinでは1on1のタイマンラヴばかりを投下してきたのが今回は陰惨な雰囲気の強要エロスやら輪姦やらも随所に。ただこのへんはワニでの前作「揺れる濡れる」にも兆候があったのでTIの単行本だけしか読んでなかったという人以外は免疫もあっただろうし、しのぎ鋭介のしっとりした描線にはむしろ多少隠微な趣向をまとわせた方が似つかわしくもある。あと以前カヴァー下でこっそり性癖をバラしていた触手ネタが堂々と本編に登場したのにはちょっと笑ってしまった。こりゃキルタイムに移る気満々ですね!(違う)。
艶めく黒髪を振り乱すようにして褥に横たわり、少女はゆっくりと衣服をはだけ火照りはじめた柔肌をあらわにする。みずから蜜壷を広げて男を誘い、ただちにたぎる剛直で内奥を貫かれて小刻みに嬌声をもらしはじめる光景がなんとも淫猥だ。ふだんの凛とした表情をたちまちメスのそれへと変貌させながらはしたなく腰を使い、締めくくりにたっぷりと精を注がれ全身を打ち震わせて絶頂に達する。
作画/作劇とも総体的には前作の空気を踏襲したものとなっているが、個人的にはティーン含有率がアップしたことで評価もプラス方向へ。しっとり&しっぽりの和風テイストが前面に押し出され作家性アピールが強まったのにも好感だ。あと前々作「委員長の恋人」ヒロイン宮代さんにキュンキュンさせられまくってた自分としては彼女の再登場がもうたまらなくうれしく、後日談パート2・3もさらにお願いしたいところ。だもんで抜き的にはその後日談短編「委員長のあいさつ」と、互いに意識しあっていた血の繋がらぬ妹とようやく結ばれ「不揃いのパズル」がお気に入り。

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