2013-07-08

今夜のハイティーン詩集。

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-たけのこ星人「カクセイ彼女」ワニマガジン社 ISBN:9784862692542
話◎-○ 抜○ 消小-中 総合○

両親が遺した借金のカタにメイド兼性奴隷として奉仕するヒロインと彼女を想いつつも玩具のように乱暴に扱う同級生ご主人様のすれ違う心と心前後編&サブキャラ番外編+ちょっと強引な彼氏に引きずられがちな少女はしっかりしようと決意するのだが……前後編+独立短編4本+巻末&カヴァー裏おまけ漫画/作品解説。ひと筋縄ではいかない歪んだ愛のカタチをときに隠微にときにあからさまに描き出す作者最新刊は通算3冊めにして当社からの初お目見えだ。
2009年発売の処女作「シアワセ少女」から2冊めにあたる前単行本「ゴーイン乙女」刊行まではえらくインターヴァルが空いたが、そこからはストックがあらかたたまっていたこともあって1年弱と短い間隔でのリリース。その間になぜだか出版社が変わっていたりするのだけれど、まあそのへんは旧コアマガ現ゼロス組みな同じ事情なので過去レヴュウを参照していただきたい。
ややザックリしたタッチで描かれる一般青年誌調の作画はきわ立って個性的ではないにせよ充分にアップ・トゥ・デイトで、驚異的に平均画力の底上げがなされた現代エロ漫画業界にあっても高水準な部類だ。すでに非エロのコミカライズ仕事も並行して行っているようで、順調に売れっ子への道を邁進しておりまずは善哉。まあ可能ならばまだまだ成人向けでも存分に腕を振るっていただきたいのだけれど。
このキャッチーな筆致でものされる女の子連中はハイティーンを中心に上方向若干名をプラスという読者の欲望の最大公約数をうまくすくい取った構成だ。表紙/裏表紙のイラストでも明らかなように彼女らはハッキリと巨乳志向なのでつるぺたスキーは待避すること。そのボディは彫像のように奇麗な――とはゆかず乳暈ははしたなく大きいしアンダーヘアのお手入れが行き届いてなくモジャついててと少々いびつではあるのだが、むしろそれがいかにも現実の女体っぽい存在感をかもし出しておりたいそうエロっちい。
レイプだのNTRだのの飛び道具を随所に仕込みつつもそれらは副菜で究極的には男子女子の愛のあり方の本質をえぐり出すのがデビュー作の特徴だったのだけれど、それが2冊めだと話を妙にギャグ方向へ振って読者を困惑させたものだ。しかしながら今回は1冊めの路線へ再度回帰して、男子女子のままならぬ恋模様を多彩なアプローチで我々の目の前に突きつけてくる。
和姦/凌辱という一面的な見方ではくくれない独特のストーリーテリングは人間存在のダークな部分をもときに暴露する刺激的なもの。毎朝毎晩好き勝手に肉体をむさぼられたり気ままにちんこを出し入れされたり想い人以外の男に犯されたりとヒロインはわりとひどい目に遭うのだが、それをただの受難や不運の結果としてではなく、それをトリガーとしてまったく別の展開につなげたり彼/彼女の真意を吐露させたりともう一段ひねりを加えるのがたけのこ星人漫画の真骨頂。ときどきトゥイストしすぎて据わりの悪いところへ着地したりもするのだけれど、そうした部分も含めてどの話からも「絶対に予定調和では終わらせない」という作者の強い意志をビンビンに感じ取れるのだ。
お話ではかようにトリッキーな仕掛けを用いつつも、だからといって抜きツールとしてのユーザビリティを犠牲にすることはしない。濡れ場には各回たっぷりと分量が割かれ、性器どうし干戈を交えてガツガツと獣のごとくつがうハードファックをじっくりねっとり描き出す。ちちしりまんこ等のエロパーツにフォーカスを当て続け結合断面図を豊富に散りばめつつガッツリ中田氏に至るまでの一連のシークエンスを詳細中継。
牝臭匂い立つ秘所をあらわにしながら陽物にしゃぶりつき執拗に舌先を使ってはザーメン搾取。すっかり濡れそぼった蜜壷へ陽物をねじこまれハードに腰を使われるたび全身を打ち震わせてこみ上げる快感に身もだえする彼女らの痴態がたまらなく淫猥だ。派手な擬音をBGMにしながら子宮口の奥深くを貫かれ汗と涙とよだれにまみれながら獣のごとく咆吼するヒロインの子袋めがけて大量の白濁液を叩きつけ膣内射精コンプリート。
水戸黄門的お約束のもたらす安定感をことごとく拒否する作劇ゆえ、男子女子の気持ちがくねくねと迷走し幾度となくどんでん返しを食らって読後感は決して良好とはいえない。もっともそうして読み手の心にことごとく爪を立て引っかかりを残す、その違和感を植えつけることこそがおそらくこの作家の狙いなのだろう。それは誤読の余地さえ残すまいと物語の意図を懇々と説明した作品解説でも明らかだ(そのくせオチの解釈は読者にバーンと丸投げしたりもするのだけれど)。まいどセレクトするネタが凌辱系のそれなので敬遠する人も多いのだけれど、そうした表象にとらわれて食わず嫌いするよりまずはいっぺんトライしてみるべきだと強く主張したい。不器用だったりブザマだったりもする彼ら/彼女らの生きざまにときとしてどうしようもなくシンパサイズしてしまう、そのモヤモヤした感覚をもっと多くの人に共有してもらいたいと思うのだ。その意味では今回冒頭からの「君はメイドでしかない」連作は格好のサンプルで、傲慢で矮小な人物として描かれる主人公が最後に取ったある行動にひどく胸打たれひとしきり身震い。まあそれまでの悪行を思えば同時に「ざまぁ」と感じたりもするのだけれど。

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