2012-05-29

今週の吉備団子。

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-ぽんこつわーくす「お嬢様は逃げ出した(1)」竹書房 ISBN:9784812477793
話△ 抜△-× 消大(詳細性器描写なし) 総合△

社長令嬢のまいどおなじみ家出ごっこにつきあわされる使用人だけど今回ばかりはちょっと様子が違って……表題作長編9話(第1-9話、以下続刊)。マークなし。萌えまっしぐらのタッチでベタ甘ラヴを臆面もなく展開するこの作家初の巻数表示あり長尺ものは通算4冊めにしてnot成年仕様の第3弾。
同人と商業の二足のわらじで大活躍する、原作・猫蔵/作画・しーたの漫画制作ユニットが送り出す最新刊は2011年3月刊の前単行本「からふるはーべすと」からおよそ1年あまりとほどよいペースでのリリース。コンテンツのすべては慎太郎シール誌である「ビタマン」を初出とし現在も好評連載中だ。カヴァー下の著者あとがきでは「2巻が出るかどうかわからない」などと述べているけれど、まあ人気作家だしよっぽどのアクシデントがない限りだいじょうぶでしょう。
繊細な描線を用い少女漫画フレイヴァーをそこかしこに散りばめたたおやかな絵柄は最大の武器で、書店店頭映えするのはむろんのこと女の子の喜怒哀楽をこのうえなく魅力的にピックアップ。このスウィートな筆致でもって二次創作だとわりと非道な凌辱ネタをバリバリものするギャップがじつにワンダフルなのだけれど、商業仕事はその点毒気が少なくて自分としてはいささかもの足りないところではある。
ともあれいつもどおりキュートな女の子をモリモリ出してひたすら甘口和姦ベースで……と思ったらそこはさすが長丁場、あくどく立ち回る敵役を出したりひとクセあるサブヒロインを投入したりでメリハリをつけてきた。とはいえ作品世界は比較的コンパクトだしヒロイン&ヒーローたる令嬢/使用人コンビがたどり着くだろう最終形も現段階ですでに見えているので、おそらく次巻でみなさん幸せにフィナーレを迎えるものと思われる。
主演女優たる世間知らずのお嬢さま・静香さんが中盤までヴァージンを守るためその間は敵方の有能秘書・加奈子さんやモブ数人が抜きキャラを担当。しなやかな肢体にほどよく盛り上がった乳やお尻がプラスされる彼女らが艶っぽく身をくねらせてはよがりまくるさまがなんとも眼福だ。ただ元来非常にあどけない造形をするだけに加奈子さんみたくフェロモンダダ漏れ系の女性を描くといささかミスマッチぎみで、個人的にはいつもどおり童顔寄りのおにゃのこの方が作風には似つかわしいと感じた。
なまめかしい女体を全面フィーチャーの濡れ場はじつにフォトジェニックで、端整な表情をすっかり上気させ随喜の涙を流したりプリプリおっぱいを揺らしながら荒い吐息をもらし絶頂するさまなどたいそう上質なヴィジュアルを堪能できる。しかしながらエロシーン含有率はマークなしのなかにあってもけっして高くないうえに徹頭徹尾性器結合部を隠蔽するアングルばかりなので自慰表明のためにはストレスフルと言わざるを得ない。真っ白けの修整をこのうえなく憎む俺ではあるけれど、そもそも消しをあまり必要としないくらいにちんこまんこの出番が少ないのもまたせつないぞ。
てなわけでややネガティヴな評価を書き連ねはしたものの、ひたすら好感度の高い作画はやはり余人に代えがたく2巻も引き続き追いかけていきたい所存。次は黄色い楕円物件とまではゆかずとも同誌の他の執筆陣並みにはエロシーンもエロパーツも景気よく盛っていただけたらうれしいなあ。加えてこの作家はハッピーエンドを迎えた彼氏彼女が後日談でさらにイチャつき度を増す光景を描くのがとてつもなく上手いのでそちらにも期待。

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